家賃26500円の東京暮らし② ― 生活 編
上京して数年はアルバイトを3~6ヶ月ほど集中して行い、そこで貯めた金額をすべて生活費や活動資金に充て、技術習得や作品制作のための時間をなるべく長く確保する。
このような生活を長年続けていたため、貯金または節約することが身に沁みついており、今の生活でも活かされています。
今回は、安アパートに暮らしながら節約生活を送っていた当時の様子についてお話します。
買い物事情
このアパート周辺は、節約生活を送る私にとっては何かと便利な環境でした。
庶民的なスーパーだけではなく、八百屋・精肉店・鮮魚店といった生鮮食品を専門に扱う店が狭い範囲に集中していました。
それらの店を日頃からチェックすることはもちろん、閉店間際の割引セールを利用して食材を安く購入していました。
また、異なる企業の100円ショップが複数展開していたため、日用品を購入する際にはよく利用していました。
少し足を延ばせば、大型のホームセンターもあり、大抵の日用品が手に入りました。
日常の過ごし方
節約のため基本自炊
私の食生活の基本は自炊です。
駅周辺や住宅街でも定食屋やチェーン店の食事処といった安く利用できる店はありましたが、自炊に勝る安さの食事はありません。
週末に安く食材を手に入れ、休日にはその食材を加工・調理してから小分けに保存。
勤務している平日はそれらを温める程度で利用できるように工夫していました。
また、缶詰など長期保存できる食材は安い時期に箱買いし、長い期間利用することで出費を抑えていました。
小さな一口コンロしかないキッチンですが、上手く利用することで豊かな食生活が送れました。
無駄を省くためガス契約を解約
入居してから10年ほどは契約会社から供給されるガスを使用していました。
しかし、支払い金額の大半は基本料金であり、使用頻度に比べ割高なものになっていました。
その後、電話による解約手続きを行い、安いカセットコンロをホームセンターで購入。
ガスボンベも安い時期にまとめ買いしていました。
それからのガス料金は、毎月1000円ほどかかっていたものが、160円ほどに。
(1本約80円のガスボンベを2本程度使用)
「もっと早く解約すべきだった」と後悔しました。。
カセットコンロに替えて便利になったこともあります。
持ち運びができるため、畳間でも作業ができ、調理スペースが広がりました。
食材を加工するたびに1口コンロを移動していた煩わしさから解放されました。
頻繁に利用できない銭湯
賃貸アパートでも風呂付きが当たり前である昨今、銭湯の利用者は減ってきています。
反対に入浴料は値上がりし続け、入居当時は400円でしたが最終的には460円になっていました。
毎日銭湯に通うとなると、月13800円(460円×30日)ほどかかります。
そのため、私は銭湯を利用する日を水曜日と日曜日の週2回と決めていました。
費用を節約するため、銭湯に通えない時は蛇口にホースを取り付け、小さなシンクに身を屈めて洗髪したり、濡れタオルで体を拭ったりしていました。
夏場は冷たくて気持ちが良いですが、冬場でも温水が利用できないため、冷たさに耐えながら洗髪していました。
手洗いによる洗濯
アパート周辺にはコインランドリーが何ヶ所かあり、200円ほどで洗濯機が利用できます。
しかし、洗濯物が大量にある場合または大物を洗濯しない限り利用することはありませんでした。
基本は手洗いです。
毎日使用する下着やタオルはシンクに収まる大きさの洗面器を使って洗濯。
シャツやズボンといった大きめの衣類は10Lサイズのバケツを使って洗濯していました。
洗剤を水に溶かし押し洗い。数回水洗いすることで洗剤を洗い落とします。
このような作業を週に何回か繰り返すのですが、冬場は水が冷たく、億劫になることもしばしばでした。
インターネット環境は必須
4畳半一間の生活には縁遠いようですが、仕事の関係上、PCは必需品でした。
入居2年目ぐらいからPCを購入し、自宅で利用し始めました。
当時のディスプレイは、今は懐かしい "CRTモニター" であり、狭い部屋では場所を占めました。
長い期間、そのモニターを愛用していましたが、中古の液晶ディスプレイが手頃な価格になったことを期に買い替え。快適なPC環境になりました。
PCの利用といっても最初は作業するだけでしたが、インターネットの必要性を感じ、自宅への導入に踏み切りました。
当時はプロバイダの利用料金が高額だったため二の足を踏んでいましたが、安さと通信速度のバランスを熟考し、ある1社を選択。
それから転居するまでの間、そのプロバイダを使い続けました。
プロバイダが決まり、回線工事の段階になりましたが、このアパートでは大掛かりな回線工事を必要としませんでした。
各部屋に電話線が引かれていたため、その引き込み経路を利用してインターネット環境を構築しました。
当初はADSLに始まり、価格が安定してきたタイミングで光回線に変更し、インターネット環境を改善してきました。
入居の条件
このアパートには古い建物ならではの明確な決まり事があります。
それは契約時の誓約書にも記載されているものであり、隣人とのトラブルを避けるためにも重要なものです。
その決まり事の中で特に印象的だった3つを下記に挙げます。
火気厳禁
古い木造の建物であるため、火の取り扱いについては大家さんが特に気にされていました。
寒い季節になると、"灯油ストーブ使用禁止" の貼り紙が定番になるほど注意されていました。
そのため、冬の寒さ対策で使用できるものは、電気ストーブやこたつといった直接火を使わないものになります。
その点からすると、私がカセットコンロを畳間で使用していたことは禁止事項に引っかかってしまいます。
匂いのきつい料理は禁止
アパート内の廊下が換気のために利用されていたため、調理の際の匂いや煙が住人の迷惑になることもあります。
特に匂いが気になる料理を作る場合は、アパート入口のドアを開け放ち、風通しを良くしてから行うなど対策を取ってきました。
実際のところ、夕食の時間帯に大家さんがチェックすることはなく、匂いの度合いも曖昧であったため、多少の匂いは住人同士による暗黙の了解となっていました。
私もニンニクや香辛料を大量に使った料理を作ってきましたが、これといった苦情はありませんでした。
複数人での入居は禁止
このアパートは単身者専用であるため、同居は認められていません。
また、夜遅くまで友人と会話することは明確な禁止事項ではありませんが、注意されることもあります。
壁や天井が薄い建物であるため、夜遅くまで騒がれると迷惑になるのは当然です。
これも度を超えた騒音でなければ住人同士による暗黙の了解であり、黙認されていました。
移動手段について
都内では、通勤または買い物といった日常のあらゆる場面で電車を利用します。
そのため、必ずしも自家用車を持つ必要はなく、困ることもありません。
しかし、私のような安アパートの住人でも自家用車を持つことはできます。
実際、同アパートの住人の中には車を保有している方もいました。
「車があれば便利だろう」と思うこともありました。
ただ、駐車料金や税金といった維持費のことを考えると積極的に保有する気にはなれませんでした。
友人に「家賃より近所の月極駐車場のほうが高い」と自虐的に話すことがあったぐらいです。
ただし、遠方への足として "自転車" は持っていました。
アパートの敷地内の一角。広いスペースではありませんが臨時の駐輪場があり、住人であれば無料で利用できました。
手渡しによる家賃の支払い
"家賃の支払い" といえば、口座振替が一般的だと思います。
しかし、このアパートでは大家さんへ直接手渡すことが決まりであり、支払日の夕刻になると大家さん宅へ伺うことが毎月のイベントでした。
私は他の住人と鉢合わせになることを避けるため、支払日より早めに家賃を払っていました。
支払い記録用の通帳と家賃を携え、大家さん宅へ。
金額の確認を目の前で行い、通帳に印鑑を押す。
それから、世間話をしたり、お土産をいただいたことも良い思い出になっています。
入居してから3年ほどは大家さん宅へ家賃を払いに行っていましたが、年齢的な問題もあり、家賃の管理を近くの不動産屋さんへ委託することになりました。
その後も手渡しによる支払いが続き、毎月不動産屋さんへ支払いに行っていました。