2024年 4月26日(金)
作成日:2021-02-10

暮らしてみて分かった! 追加すべき住みたい地域の条件

立体的な地形図のイメージ画像

以前、移住先の地域を選ぶ条件に関する記事を書きました。

実際に購入し、暮らすこと約2年。
結果的に満足する物件でしたが、下調べが甘かったと反省することもあります。

今回は、前回の記事内容を更に深めるため追加すべき調査や役立つ情報についてお話します。

自然災害に耐えうる地域か

前回は、洪水による浸水被害を避けるため、高台にあることを条件として挙げました。
結果として、自然災害に関する条件としてはこの1点しか書いていません。

また、内見時に不動産屋さんから「災害に強い土地である」と聞いていましたが、それを裏付ける情報収集を怠っていました。

購入後、都道府県または市区町村の公的機関が公開する『ハザードマップ』が自然災害に耐えうる地域かを参考にする情報であることを知りました。

各種ある『ハザードマップ』から、物件を購入するための調査に必要な情報をどのように入手するかについて紹介します。

ハザードマップの種類

主なハザードマップを挙げると下記のようなものがあります。

『地震ハザードマップ』については、"地震危険度マップ" "ゆれやすさマップ" "液状化危険度マップ" など細分化された情報として公開されている場合もあります。

主なハザードマップ

・洪水ハザードマップ

・内水ハザードマップ

・地震ハザードマップ

・宅地ハザードマップ

・土砂災害ハザードマップ

・高潮ハザードマップ

・津波ハザードマップ

・火山ハザードマップ

国土交通省の『ハザードマップポータルサイト』は全国のハザードマップを集約しているため、購入を検討している地域の情報が効率よく入手できます。

ハザードマップポータルサイト

水害に強い地域を知るためには

洪水のイメージ画像

浸水被害の原因は "外水氾濫" と "内水氾濫" に分かれます。

『外水氾濫』とは、台風や長雨などにより河川が氾濫したり、堤防が決壊したりすることで市街地に水が流れ込む現象です。

このような水害を避けるには土地の高低差を知る必要があります。そのための情報は "洪水ハザードマップ" が参考になります。

『内水氾濫』とは、ゲリラ豪雨など市街地に排水能力を超える多量の雨が降り、排水が雨量に追い付かず建物や土地が水に浸かる現象です。

近年、予想を上回る雨量の降雨が発生しているため、これまでの浸水実績を基にした "内水ハザードマップ" の情報は正確ではない可能性があります。

内水ハザードマップ

下水道の雨水排水能力を上回る降雨が生じた際、下水道及びその他排水施設の能力不足や河川の水位上昇に伴い雨水を排水できない場合に浸水の発生が想定される区域等に関する情報や避難場所等に関する情報を図示したハザードマップ。

地震に強い地域を知るためには

地震による地割れのイメージ画像

想定される震度がシミュレーションされたマップや地盤の固さを表したマップなどが地震に強い地域を知るための情報になります。

"地盤の固さ" は地震に強い地域であるかの判断に欠かせない情報です。

その理由は、地震の規模が同じである場合、柔らかい地盤よりも固い地盤の方が揺れが小さくなるからです。

地盤の固さについては "ゆれやすさマップ" が参考になります。

また、大規模な住宅街などの造成地にも地震による危険性が潜んでおり、その情報は "宅地ハザードマップ" にて知ることができます。

宅地ハザードマップ

大規模盛土造成地を抽出した上、個々の盛土造成地の形状や土地利用状況、地下水の有無などをから大規模盛土造成地の変動予測を表示したハザードマップ。
(『盛土』については後述します。)

地震による被害の対策として、地盤の固さだけではなく液状化現象による被害も考慮したいところです。

液状化現象とは、地震の強い揺れにより、地下の地盤が一時的に泥水のようになる現象です。液状化が起こると、部分的な地盤沈下によって建物が傾いたり地下の埋設物が被害を受けたりします。

この場合はは "液状化危険度マップ" が参考になります。

その他のハザードマップ

傾斜地上または傾斜地に隣接する物件の購入を検討している場合は、長雨や地震などによる土砂災害の被害が考えられます。
この場合は "土砂災害ハザードマップ" が参考になります。

また、購入する物件が海に面している地域であれば "高潮" や "津波" といったハザードマップが、噴火の影響が予想される地域の物件を検討している場合は "火山ハザードマップ" の情報が参考になります。

購入する物件の地質について

『切土』と『盛土』について

当然ながら、建物を建てる際には土地を平らにする必要があります。
傾斜地の場合、階段状に土地を切り崩し水平にする造成工事が行われます。

その造成工事には、『切土』と『盛土』の2つの方法があります。

切土 (きりど)

傾斜地の凸状地形(斜面)を切り出す工事。
山地や丘陵地を切り崩した土地であるため地質が均質で締まっています。

盛土 (もりど)

傾斜地の凹状地形(窪地)を埋める工事。
水田・湿地帯の埋め立て地や谷埋め地などを造成する場合にも用いられます。
土砂による締め固めや地盤改良工事による対策が施されています。

『切土』と『盛土』の境界付近は危険

半壊した建物のイメージ画像

災害による地盤事故が最も発生しやすい場所は、切土と盛土の境界付近です。

異なる地質の境界であるため、盛土部分のみ崩れ家屋が傾く可能性が高くなります。

物件を購入する際は、切土・盛土の2パターンで情報を集めるのではなく、境界についても注視する必要があります。

購入する際はやはり『切土』?

結論から言って『切土』一択です。

盛土であっても対策が施されたり、年数を経て地質が安定すると言いますが、やはり不安は残ります。

購入する前に地質に関する情報を得るためにも、売主または仲介業者から造成工事に関する資料を求めたり説明を受けることが大事です。

また、市区町村が公開する『大規模盛土造成地マップ』も参考になります。

犯罪が発生しない安心できる地域か

パトカーのイメージ画像

治安の良し悪しについては、実際にその地域を散策しながら雰囲気を掴むことが大事です。

しかし、閑静な住宅地であったとしても安心はできません。

購入を検討している地域の治安に関する情報を得るには、都道府県の警察が公開している『犯罪発生マップ』が参考になります。

このマップでは犯罪が発生した地域が視覚的に表示されており、目星を付けた地域が該当しないか確認できます。

犯罪の種類も詳細に記されており、"自動車盗" や "侵入窃盗" といった住宅地でも起こりうる犯罪の情報も得ることができます。

日当たりの良い環境か

採光のイメージ画像

南側の採光ついては必須の条件であり、私にとっては当たり前のことであったため以前の記事では省いていました。
しかし、実際に暮らすことでその重要性を再認識させられました。

日が当たる南側と当たらない北側では、湿度の変化が体感的に違います。

梅雨時期といった湿度が高い季節に一時的に晴天になった場合、南側は気温が上がり短時間で湿度が下がります。
それに対し、北側は晴れた日であっても1日中湿った状態が続きます。

もし、南側の採光が得られない物件であった場合はどうでしょうか。
湿った状態が続く環境だと、カビやシロアリの被害が懸念されます。

実際私が内見した物件ですが、南東側に小高い丘があるため太陽が遮られ正午近くから陽が射す環境であり、西と東側は隣家が近接していました。

その物件では、南側にある和室の柱に蟻道(シロアリの通り道)が腰の高さほどに形成されており、日中も薄暗い状態でした。

物件を購入する際、隣家と近接しすぎていないかどうか、周囲に小高い丘や高い建物がないかといった日当たりについても考慮すべきです。

地域住民の情報は貴重

ご近所のイメージ画像

新しい土地に暮らしてみて、ご近所さんとの会話を楽しむ余裕も出てきました。

やはり先住者。暮らしていく上での貴重な情報が豊富です。

例えば、近場の買い物事情や地域の人間関係、地元の工務店の良し悪しや実際にリフォームした際の金額など、インターネットでは得られない実用的な情報ばかりです。

物件を購入する前、周辺の人間関係や自治会との付き合いについて不動産屋さんに調べてもらいました。

不動産屋さんはこの住宅地によく出入りしていたため、井戸端会議をしている奥様方から情報を得ており、その内容を私に知らせてくれました。

地元の不動産屋であり、名刺を見せることで警戒されることなく情報が得られたのだと思います。

もし、私が情報を得ようと同じように聞いたとしても警戒されたはずです。
物件購入者自身が事前にご近所からこのような情報を得ることは困難だと思われます。

知り合いもしくは何らかの方法で住民から話が聞けるのであれば、それは間違いなく貴重な情報源になります。

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