2024年 4月25日(木)
作成日:2021-08-24

リフォームの相場を知るために業者に相談してみた【見積もり体験談 ②】

リフォームのイメージ画像

建物の傷み具合を理解した上で購入した中古住宅。

しばらく住んでみて傷みの進行度合いや改修する部分の優先順位も分かってきました。

早急にリフォームすべき場所は『外装全般』。
素人の手で施工するには難易度が高く、仕上がり具合によっては建物自体の寿命を縮ませかねない重大な作業。

そこで、屋根や外壁といった外装リフォームを業者に任せた場合の費用について把握すべく見積もりを取ることに。

今回は、リフォーム工事の内容やその費用を調べるため、実際にリフォーム業者に相談して分かったことについてお話します。

リフォーム業者を知った経緯

近所で評判の良い工務店

自然豊かな住宅地に移住して来て日も経ち、ご近所の方々と会話する機会も増えてきました。

何気ない世間話の中には、互いの家について話題に上がることがあります。

私が購入した中古住宅は築40年以上経過しており、外観からも古さが伝わるほど傷み始めていました。

このような状態であるため、「修理はどうするの?」と聞かれることがよくあります。

「業者の当てがないんですよ」と答えると、「●●工務店は評判が良い」と返されます。

"評判の悪い工務店" は答える人によってバラバラですが、"評判の良い工務店" となると必ず上がる会社名です。

また、折り込みチラシもたまに見かけることがあり、前々から気になっていました。

施工済みだった "お隣さん"

回覧板のイメージ画像

私が暮らす地域では、月に2度ほど回覧板が回ってきます。
その回覧板を受け取る際にも世間話が始まります。

ある日、お隣さんから回覧板を受け取り、会話の流れでリフォームについて質問したところ、3年ほど前に外装リフォームを行ったとのこと。

「どちらのリフォーム会社ですか?」と聞いてみると、あの評判の良い工務店の名前が出てきました。

長く引き留めることを申し訳なく思いながらも更に詳しく聞いてみると、「屋根の張り直し」と「外壁塗装」であり、私が考えているリフォーム工事の内容と同じものでした。

「私もまったく同じリフォームを考えている」と伝え、「参考にしたいので…」と単刀直入に費用について聞いてみました。

お隣さんも自然な感じで「うちは180万円ほどかかった」と答えてくれました。

この情報はインターネットでは得られない非常に有益なものです。

お隣さんの建物はこちらと同じく2階建てですが建坪がすこし小さいため、比較した結果、私の家の工事費用は『200~250万円』ぐらいだろうと予想できました。

相談する前の業者に対する印象

工務店のイメージ画像

リフォーム業者に支払う費用を抑えようと考えた際、地元の工務店に依頼することが選択肢として挙がります。

大々的に宣伝している大手企業に依頼した場合、「広告宣伝費」や「中間マージン」の金額がリフォーム費用に上乗せされることが考えられます。

ただ安く抑えるといっても『工務店』は千差万別。リフォームを依頼する工務店の『質』には当たり外れがあり、施工後に後悔することもあるでしょう。

安い見積もりで仕事を引き受け、コストカットのために質の悪い建材を使用したり、工期を短縮するために手を抜いたりする悪質な業者も存在します。

設立間もなく施工実績が少ない会社の場合、採算度外視でリフォームを引き受けることも考えられます。

その場合、慎重に工事を行い結果的に丁寧な仕事になるか、未熟なため雑な仕事になるか、仕上がりに不安なところがあります。

リフォームを相談する前の私は、地元の工務店に対して「工事費用は押さえられるが、信頼できる会社を見つけることが難しい」という先入観を持っていました。

見積もりの相談を行う

様子を伺いに直接工務店へ

投函された折り込みチラシを頼りに、工務店の事務所へ足を運びました。

私が住む地域に近く、同市内にある工務店。
住居スペースと一体化した小さな事務所。

出迎えてくれたのは、70代ぐらいの男性。
元社長であり今は会社を息子に譲ってサポートに回っているとのこと。

応接室のイメージ画像

応接スペースへ案内され、私が折り込みチラシを見せ「リフォームの相談に来た」旨を話すと、「お住まいはどちらですか」と聞かれました。

住んでいる地域名を答えると、担当者は奥から地図を持ってきてテーブルの上へ。

その地図は私が住む地域一体の住宅地図であり、大部分の区画が赤いペンで書きこまれていました。

担当者によると「この工務店は昔から地域密着で大工仕事を請け負っており、この地図は施工に関わった家を表している」とのこと。

確かに、お隣さんの家にも赤い文字で施工した際の情報が書き込まれていました。

それから、地域の話題で盛り上がったことを期に、私から「目安となるリフォームの相場」について話を切り出しました。

すると担当者は「費用については現場を見ないと答えられない。今参考となる費用を答えたとして、もし現場でその費用を上回ったらがっかりするでしょう。」と答えました。

それでも私は「参考にしたいので是非…」と粘ってみましたが、担当者は「答えられない」の一点張り。
費用に関しては「無責任なことは言わない」という強い意志を感じました。

考えてみると、事務所に入ってから終始費用についての話はせず、私の予算についても聞き出す素振りすら見せませんでした。

最後に、私の住所・氏名・電話番号を書き残し、事務所を後にしました。

自宅に戻って数時間後。
工務店の現社長である息子さんから電話があり、現地調査の日程を調整して見積もりの段取りを終えました。

自宅での調査

現地調査のイメージ画像

工務店へ伺ってから数日後。
社長自ら現地調査のため、私の家に訪れました。

がっちりとした体形の50歳前後の男性。
会社の経営者であり、自らも現場で腕を振るう現役の大工でもあるそうです。

私からはリフォーム工事のメインである屋根と外壁、加えてボロボロになった軒天、戸袋などの外壁周辺の腐った木部について現状を説明しました。

その説明の合間に個人的な興味から、どのように施工するのか技術的な質問をしても快く答えてくれました。

軒天 (のきてん)

屋根の端、建物の外壁の外側に突き出している部分の裏側(天井)。
「軒裏 (のきうら)」「軒先 (のきさき)」「軒天井 (のきてんじょう)」などとも呼ばれます。

担当者は現状を一通り聞いた後、調査のために建物の周囲を歩いて観察しつつ、メジャーで外周を計測しながらレポートにまとめていました。

家に到着してから時間にして30分ほど。

思ったほど時間がかからなかったため、別件で建物内部の工事についても相談しました。

別件の相談

筋交いのイメージ画像

建物内部で1番気がかりだった『筋交い』の件。
2部屋を1部屋にしようと私が壁を取り除き、現れた想定外の筋交いをどのように取り除くか悩んでいた件です。

筋交いや柱が剥き出しになった部屋へ案内すると、担当者は壁がない部屋の様子に驚いていました。

事情を説明すると「なるべくなら筋交いは取らないほうが良い」と答えましたが、代替案として別の場所を筋交いで補強することで目的の筋交いを取り除くことができるとも説明してくれました。

それから「内装は自分で行う予定」と事前に伝え長く引き留めていましたが、素人が施工する際の相談にも丁寧に答えてくれました。

長い間悩んでいた問題もプロのアドバイス一つで解決できるようなこともあり、大変貴重な情報になりました。

見積書の内容

見積書のイメージ画像

現地調査から1週間後。
帰宅すると郵便受けに見積書が投函されており、工務店の方が直接持ってきたようでした。

早速、内容を確認してみると、最初に目に飛び込んできたのは "工事の総額"。

その金額は『234万円』。私が想定した金額の範囲内であり、信用できる金額設定だと感じました。

見積書をすべて確認してみても、各々の工事に対しての詳細な内容や使用する建材の値段が明確に記載されており、"不明瞭な値段設定" は見当たりませんでした。

そして、見積書の最後のページを見て驚きました。

現地調査の際に相談した筋交いの撤去に伴う工事や外壁周りの腐った木部の補修工事がなんと『無料』。

外装リフォームの総額『234万円』という金額に加え、思いがけないサービスによるサプライズ。

すぐにでも依頼したいところでしたが、今回の見積もりはリフォーム工事の費用を調査するためのものであり、コロナ禍である今後の生活を考え貯金を温存するためにもなくなく断念しました。

その2日後。見積書が入っていた封筒に記載されたメールアドレスから「今回は見送る」旨のメールを送信しました。

相談した結果

ご近所の評判通り、信頼できそうな工務店でした。

対面による会話からも誠実さが感じられ、今後ともお付き合いしたいと思わせる方々でした。

見積書の内容からも、工務店による施工には「過度な広告宣伝費」や「中間マージン」といった "余計な費用" が加算されていない分、予算を抑えたリフォームが可能であることが実証されました。

また、今回の見積額について、職人の腕や建材の性能などを加味した上で適正かどうかを判断することはできません。

それでも、誠実な仕事を心掛けている業者に対してであれば、決して高額な工事費用だとは思いません。

私の場合、早い段階から "良い工務店" を引き当てましたが、工務店の良し悪しを判断するためにも数社ほど見積もりを依頼し、その対応や提示する見積書の内容から工務店を調べる必要がありそうです。

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