損してる? 派遣社員でも失業保険の対象に ~受け取るまでの流れ~
失業保険 (正式には『雇用保険』)。職を失った方への就職活動を支援する制度の一つです。
コロナ禍で "雇い止め" が横行する中、私も例外ではなくその対象になりました。
このご時世、次の職探しも長期化することが予想され、何より自身の健康を最優先にしなければなりません。
生活への不安を抱える中、当面の生活費のために失業保険を受け取ることを決意。
今回は、コロナ禍における失業保険の手続きや受給するまでの体験談についてお話します。
失業保険受給を決めた経緯
勤務先の正社員にコロナ禍の影響が出始めたころ、派遣社員である私も契約が切れる1ヶ月前に「次回の更新はない」と告げられました。
過去に正社員として勤務した後、失業保険を受給していたことがあり、受給資格についての知識は多少ありました。
そのため、今回は契約満了したとしても10ヶ月しかなく、下記の失業保険(雇用保険)の資格対象ではないと諦めていました。
雇用保険の基本手当の受給資格は、原則として、離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要となります。
派遣社員として失業保険を受給した経験がないため知らなかったことですが、例外的に下記の場合も資格対象になるそうです。
ただし、倒産・解雇等の理由により離職した場合、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した場合は、離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上必要です。
私の場合「10ヶ月の継続勤務」「労働契約が更新されなかったこと」が該当するため、失業保険受給の資格対象であることが判明。
コロナ禍により今後の就職活動は難航することが予想され、また自分の身を守るためにも様子を見ながらの活動になります。
そのため、当面の生活費のために給付金を受け取ることを決意しました。
派遣会社へのアプローチ
私が登録している派遣会社では、インターネット上から『離職票』の発行手続きができます。
そこで離職理由を [契約期間満了による離職(契約更新または延長の希望あり)] とすることで後述する『特定理由離職者』と認定され、3ヶ月の給付制限期間が免除されます。
手続きの注意事項を確認すると、手元に届くまでに "退職後15日以上" もかかるとのこと。
後日、電話にて「1日でも早く郵送できないか」相談したところ、退職した1週間後に届きました。
= 補足 =
契約最終月の給与処理が行われた後に離職票が発行されるため、15日以上もかかります。
今回は給与処理の前に離職票を発行し、ハローワークにて受給資格決定後に契約最終月の給与確認を行うことで早く発行できたとのことです。
また、離職票が発行されたからといって派遣会社での登録が抹消されるわけではありません。
失業保険受給後も仕事の紹介を受けることができ、派遣社員として勤務することもできます。
失業保険の手続き
コロナ禍の中、情勢がどのように急変するか分からないため、一日でも早く受給できるよう事前に行動していました。
移住先で初めて利用するハローワークであったため、管轄するハローワークの場所と交通手段を調べ、手続きに必要なものを用意。
退職から1週間後には必要書類が郵送で届いたため、翌日には管轄するハローワークへ失業保険の手続きに向かいました。
・離職票 (1,2)
・身分証明書 (運転免許証など)
・マイナンバーが確認できるもの
・写真 (3㎝×2.5㎝ 2枚)
・本人名義の預金通帳
・印鑑
ハローワークでの手続き
以前ハローワークを利用した際、大変混雑しており、手続きに入る前に長時間待たされたことを憶えていました。
そのため、今回はハローワークの営業開始時間を狙って訪れました。
施設入口にある案内窓口にて「失業保険の手続きに来た」旨を伝えたところ、手続きの前に『求職の申し込み』を行うとの説明を受け、申し込みに必要な書類を渡されました。
案内窓口から離れた記入台の前に腰掛け、書類の内容を一通り確認。
住所・氏名などの基本情報に始まり、求める職種や条件、希望給与額などを細かく記入していきました。
記入後に再度案内窓口に並び、記入した書類を渡しました。
その後、ハローワーク利用時に必要になる "ハローワーク受付票" が発行され、求職申し込みの窓口を案内されました。
【求職の申し込み】
案内と同時に渡された番号札と共に待つこと10分。
番号が電光掲示板に表示され担当者が席を立ち手を上げる。それを目印に担当者の前の席に着く。
「ハローワークの利用は初めてですか?」と聞かれ「利用したことがあります」と答えたところ、過去の利用履歴が調べられ、その際の登録データが残っていたためその後の手続きがスムーズに進みました。
最後に「会社を辞めてから本日まで仕事をしていませんか?」と口頭による確認が行われ、「していません」と答えたところでこの窓口での対応を終えました。
【失業保険の手続き】
次の窓口に案内され、待つこと30分ほど。
先ほどと同じく、電光掲示板に番号が表示され、失業保険に関する窓口へ。
そこでは離職票と写真を渡し、運転免許証やマイナンバー通知カードによる本人確認、振込先である預金通帳の確認が行われました。
その後、退職した経緯から私は『特定理由離職者』と認定され、再度待合席へ。
期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
20分ほどして名前が呼ばれ、窓口へ。
そこでは、今後の受給の際に必要になる "雇用保険受給資格者証" と失業保険受給に関する資料、次回の失業認定日に提出する "失業認定申告書" などを受け取り手続きは終了。
・雇用保険受給資格者証
・雇用保険受給資格者のしおり
・失業認定申告書
・求職活動に関するアンケート
ハローワークに滞在した時間は1時間30分ほどでした。
失業認定日にハローワークへ
私は『特定理由離職者』と認定されたため、3ヶ月間の給付制限期間(待機期間)がありませんでした。
そのため、失業保険受給の手続きから4週間後。初回の失業認定日を迎えました。
『失業認定日』とは、前回の認定日から今回までの間に規定回数の求職活動(概ね2回以上)を行い、"失業状態であり再就職の意思がある" ことを認めてもらう日です。
認定日には "失業認定申告書" を提出する必要があります。
内容としては、前回の認定日から今回までの間に収入を得るための活動の有無や求職活動の状況などを記入します。
認定されると、認定期間日数に日額(基本手当日額)を掛けた金額が支給金額として1週間以内に預金通帳に振り込まれます。
例えば、前回の認定日から今回までの認定期間(28日:4週間×7日)と日額(5000円)から算出した 140,000円 が支給金額になります。
ちなみに、基本手当日額は退職前6ヶ月の給与額を基に算出され、"雇用保険受給資格者証" に記載されています。
私の場合、被保険者期間が1年未満であるため、給付日数は90日でした。
4週間に1度の失業認定日に申請を行うこと4回。90日分を満額受給することができました。
受給した金額も認定日の2日後には預金通帳に振り込まれていました。
コロナ禍における "特例"
過去に失業保険を受給した経験がありましたが、今回は職を失った時期や受給期間がコロナ禍であったため "特例" づくしであり、面食らうことも多々ありました。
雇用保険説明会の中止
本来であれば、受給手続きから約1週間後に "雇用保険説明会" が行われます。
受給希望者が一同に集められ、そこで一通りの説明を受けた後に "雇用保険受給資格者証" と失業保険受給に関する資料(受給資格者のしおり)を受け取ります。
それから2週間後に初回の失業認定日を迎えますが、今回は説明会自体が中止になりました。
求職活動の代替
通常、初回の失業認定日までに1回以上(雇用保険説明会参加は1回とカウント)、その次からは2回以上の求職活動とその報告が必要になります。
今回は "求職活動に関するアンケート" というアンケート用紙に該当する項目をチェックするだけで複数回の求職活動と同等の扱いとなりました。
給付期間の延長
失業認定最終日にて、私は受給期間延長の対象者であることを告げられました。
「2020年5月26日(緊急事態宣言全国解除後)以降に離職」「新型コロナウィルス感染症の影響により離職を余儀なくされた」という理由で給付日数が60日延長できるとのことでした。
ただし、受給するためにはこれまでのアンケート用紙による求職活動報告ではなく、通常の2回以上の求職活動が求められると注意を受けました。
延長期間における求職活動として、ハローワークでの就職や求職者支援訓練に関する相談、または支援訓練の説明会に参加することで活動報告を行いました。
通常であれば私の給付日数は90日でしたが、延長期間を加えると150日になり予定外の金額を受け取ることになりました。
派遣社員こそ失業保険を活用すべき
私は今回初めて派遣社員として失業保険を受け取りました。
また周囲にそのことについて話したところ、意外にも派遣社員が失業保険を受給できることが知られていないことに驚きました。
非正規雇用(派遣社員や契約社員など)の場合、自身の意思に関わらず職を失うことはよくあります。
受給し終えた今思うことは、派遣社員にとっては認定されるまでのハードルが低く、次の就職までの "拠り所" として失業保険を活用すべきだということです。
受給資格を満たしていれば積極的に活用すべきですし、もし3ヶ月間の給付制限を気にしているのであれば "自己都合による退職" であったとしても『特定理由離職者』として扱われ、給付制限が免除される場合もあります。
失業保険についての情報はインターネット上からも調べられますが、不明な点が解消されない場合は最寄りのハローワークにて相談することをお勧めします。
令和2年10月1日以降に離職された方は、正当な理由がない自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が2か月となります。