決済日当日 ~大金を抱えての長い一日~(後編)

事務所にて:決済および登記
決済の手続き

手続きは四角いテーブルの各辺に各々が座り進行。
私の右側に進行役の不動産屋さん、左側に司法書士さん、仲介業者さんとは対面する形で進んでいきました。
用意された契約書や各種証明書等の概要説明に始まり、1ページずつ読み上げながらの意思確認または質疑応答が行われ、確認した書類へのサインおよび捺印と続きました。
その時、予想もしなかったトラブルが発生。
予期せぬトラブルのため一時中断
捺印のため私がリュックから実印を取り出していたとき、「しまった」と仲介業者さんが声を上げました。
何事かと様子を伺っていると、どうやら印鑑(社印?)が見当たらないらしい。不動産屋さんに促され車内を確認するも見つからない。
「後日に持ち越しかな」と私は先のことを考えました。不思議と焦りや怒りはなく、大きな買い物をするのだから焦らずじっくり行おうという気持ちの方が強かったことを覚えています。
しかし、本日で決済を終える予定だった不動産屋さんは司法書士さんの今後の予定を確認し、今度は明らかにイラ立った強い口調で取りに戻るよう促しました。
この時点で午後3時。往復90分ほどかかるため手続き再開は4時半ごろ。
不動産屋さんと司法書士さんは席を外し別の業務を行っているようでしたが、私は大金を所持しているためリュックを置いて外に出るわけにはいかず、大金を背負って土地勘のない地域を散策する気にもなれなかったため、事務所に留まり時間が過ぎるのを待ちました。
決済/登記の手続き:再開
午後4時半ごろ、仲介業者さんが無事戻り手続きを再開。
残りの読み合わせを行いつつ、サイン・捺印して決済の手続きが終了しました。
その後、司法書士さんへ新住所の住民票と前日に取得した印鑑証明書を渡し、後日、登記済権利証を受け取りに伺う約束を交わし登記の手続きも終了しました。

いよいよ支払する場面。
私はリュックから大金が入った紙袋を取り出し、帯封の札束と残り数10万円を直接仲介業者さんへ手渡しました。
その他の費用分は不動産屋さんへ手渡し、登記料や仲介手数料などに分けてもらい、お釣りを返してもらいました。
今回支払った金額の内訳は以下の通りです。
・物件価格: 6,200,000円 (手付金30万円 含まず)
・その他 : 約480,000円 (登記料/仲介手数料/税金)
この時の仲介業者さんのある行動が印象的で、今でもはっきりと覚えています。
それは、手渡された大金を間を置かずに一枚ずつ数え、額面通りあるかチェックしていたことです。
その場でチェックを行うという当たり前の行為ですが、物件初購入の私にとってはプロ意識を感じる瞬間でした。
金額に相違がないことを互いに了承。仲介業者さんから物件の鍵を受け取って本日の手続きがすべて終了。。 と思いきや、スペアキーを忘れたという始末。
これには不動産屋さんも露骨に呆れていましたが、後日郵送するということで決着がつきました。
これにて長かった手続きが完了し、緊張から解放されたと同時に念願の一軒家を手に入れたという実感が湧いてきました。
購入した我が家へ。そして帰宅

不動産屋さんが駅まで送るということで車に乗り込みましたが、駅へは向かわず購入した物件へ向かうようにお願いしました。
物件の前で降ろしてもらい、不動産屋さんとはここでお別れをしました。
内見以来じっくり見ることがなかったため、鍵を受け取った後は購入後の余韻に浸ろうと前日から決めていました。
あと、仲介業者さんが渡した鍵が本物か確認するため。(半分本気)
差し込んだ鍵を回すことで "カチャ" と音が鳴り、木製の玄関ドアを開く。当たり前の行為ですがそれがすごく嬉しい。
室内に入ると、古い木造住宅の匂いと以前の家主が飼っていたペットの動物臭。それらを感じながら庭に面した大きなサッシ戸を開き、新鮮な空気と明かりを取り込む。
薄暗い室内の細部が見渡せるようになり壁や天井にはシミや傷が多々見られるが、これからどのように手をかけていくか楽しみで仕方ない。
一階そして二階を見回る。壁に数か所、何かをぶつけたような大小の穴があり一階以上に荒れているがこれも楽しみで仕方ない。
一通り見回った後、携帯電話のワンセグが見られるかのチェックを行いました。
引っ越しをしてしばらくはテレビが見られないため、代替のTVアンテナが使用できるかの確認です。
日も西に傾き暗くなり始めたので、最寄りの駅を目指し帰路へ。
内見時もそうでしたが、これまでは不動産屋さんの車で移動していたため、徒歩で駅に向かうのは初めてでした。
不動産屋さんに駅までの道順と「約20分ぐらいかかる」と聞いていましたが、実際歩いてみるとアップダウンの激しい丘を2つ越えなければならず、毎日徒歩で駅を利用するとなると大変な印象を受けました。
初めて利用する駅であったため乗り換えには緊張しましたが、目的を達成した充実感が勝り、苦になりませんでした。
乗車中は引っ越しなどこれからの予定を考えつつ、新生活への期待で高揚しっぱなしでした。